プラーラブダ・カルマ(Prarabdha Karma)とは、ラマナ・マハルシによれば、過去生で蓄積されたサンチタ・カルマのうち、現在の生涯で結果として現れるべく定められたカルマを指す。これは、現世での環境、身体、状況、出来事などに影響を与え、すでに発動しているため、完全に避けることはできない。
ラマナ・マハルシは、プラーラブダ・カルマは個人の自我(エゴ)に関連するものであり、自己探求(ヴィチャーラ)によって真我(アートマン)を悟れば、その影響は個人にとって意味を失うと説く。悟りを得た者は、もはやカルマの果報を「自分のもの」とは見なさず、それがただ生じ、消えていくものとして認識する。つまり、プラーラブダ・カルマは悟りの有無にかかわらず現象としては続くが、それによって苦しむかどうかは自己の同一化の問題である。
したがって、自己を肉体や心と同一視する限り、プラーラブダ・カルマは避けられないが、自己を純粋な存在そのものと認識すれば、その影響から解放されることが可能となる。