抽象マインド(Abstract Mind)とは、ジュワル・クール覚者によれば、メンタル界の抽象亜界つまり高位三亜界に属し、普遍的な原則や形而上の概念を把握する知的機能であり、具体的な思考を超えた広範な理解を可能にする意識の側面である。高位マインドまたは高位抽象マインドなどとも呼ばれる。これは、純粋な知性の表現であり、個別の事象ではなく、全体性や統一性を認識する能力を持つ。
抽象マインドは、理念、象徴、数学的真理、哲学、形而上的概念を扱う領域であり、直観的洞察の受容器としての役割を果たす。具体マインドが個別的で分析的な思考を行うのに対し、抽象マインドは統合的な思考を行い、より大局的な視点を提供する。このため、形態を超えた概念の理解や、高度な思索、哲学的・霊的な推論が可能となる。
ジュワル・クール覚者は、霊的進化の過程において、抽象マインドが発達することで、魂の光やブッディ界の直観的知性との接触が可能になると述べている。具体マインドが想念物質を用いて形態的思考を形成するのに対し、抽象マインドは想念のエネルギーそのものを扱い、普遍的な概念を媒介する。この領域にアクセスすることで、弟子は直観界(ブッディ界)からの啓示を受け取る準備が整う。
霊的成長の過程では、具体マインドの鍛錬を経て、抽象マインドへと意識を引き上げることが求められる。この移行を可能にするものが、アンターカラナの構築であり、魂との直接的なつながりを確立する鍵となる。最終的に、抽象マインドは具体マインドを超越し、直観的認識と一体化することで、真理をより深く理解し、霊的な道へと進むための指針となる。