睡眠と苦悩

瞑想で苦しみがなくなることはできますか。

苦しみを感じている人との関係性を失うことで、苦しむことはできなくなります。

では私の意識では無理ということですか。

「私の意識」は想念です。意識が、情緒や想念と同一化して、私は苦しいと言います。それは必要のない自作自演です。

あまり意味が分かりません。

具体的にあなたは何が苦しいですか。

何もかもです。生きているのが苦しいです。自分の性格も嫌です。容姿も醜いため、ずっと孤独です。欲しいものは何も手に入らない人生です。こういう性格ですので、人からも好かれていません。こんな人生でも、本当に全く苦しまずにいられるのか、甚だ疑問に思っています。

眠りに落ちるとき、そのような考えはどうなりますか。

寝ているときが一番幸せです。こういう自分に打ちのめされずにすみます。だから眠りに落ちる前が一番幸せで、起きたあとが最悪の気分です。あと、起きる前にいろんな不愉快な夢を必ず見るので、起きる前から苦しみが始まっていると思います。

つまり、どんな苦しみも、眠気には勝てないですね?

眠いときは、苦しみより眠気が優先されます。眠りによって私の人生の苦しみは一時的になくなります。

では眠っているとき、今のあなたと、眠っているあなたは関係がありましたか?

眠っている意識では、今の私は知覚されません。その意味で、関係性に途切れがあるかもしれません。

ということは、今のあなたの意識とは関係のない時間があっても、あなたは維持されているということになりますか?

そうとも言えます。

睡眠によって自我との関係性が失われるときは無意識ですが、瞑想によって自我との関係性が失われるときは意識的なのです。つまり意識やあなたの本質は保たれたまま、あなたは苦しみから自由になり、睡眠の前に知覚した幸福のより深いものを維持できるのです。そのとき、今のあなたは存在できませんが、意識は今のまま、しかも深い至福で満たされます。つまり、真のあなたと、今のあなたは関係がないのです。しかし、意識じたいは今のままです。

最後が分かりません。意識は変わるのではないのでしょうか。今の意識は、より良い意識に変わるのではないのでしょうか。

意識が知覚するものは変化しますが、意識じたいは変化しません。二つの意識はありません。自我意識と真我意識に違いはないのです。この意味で、すでに真のあなたはいま実現されています。

知覚できるかできないかという話になりますか。

逆に考えてみてください。あなたは眠くないときに眠りません。眠気が来たときだけ眠ることができます。ここまでは大丈夫ですか。

眠気が来ないかぎりは確かに眠れません。眠くないのにどんな努力をしても寝れないです。

では、眠気が眠りを引き起こし、今のあなたは去りました。瞑想も同じです。努力とは関係なしに、真のあなたが現れ、今のあなたは去ります。もっと詳しく言いましょうか。眠りの前、あなたの注目は自我でしたが、眠気が来たら自我は維持できませんでした。しかしあなたは存在していました。あなたが世界や想念や自我に注目するとき、今のあなたが存在し、眠気に集中するとき、あなたは去るのです。何と同一化するかで、意識が知覚するものが変わるのです。

理屈は分かりました。この話が私の苦しみをなくすには何が必要でしょうか。

眠気のような、自我が勝てないものが現れる必要があります。眠りのように、あまりに心地よいため、自我が進んで従うような何かが現れる必要があります。それはあなた自身ですが、最初はマインドで知覚されるため、自分と別のものであると解釈されます。例えば、あなたと魂といったように。それはすでに同じものですが、今のあなたが知覚していないものが現れる必要があります。

どうやったら現れ、どうやったら知覚できますか。

知覚を妨げているものを理解することによって。あなたを知覚できないのはあなたですよ。眠りのときはなかった今のあなたに執着しているのはあなたですよ。この自作自演の意味が本当に分かるなら、マインドは静かになります。壮大な仕掛けの単純さに絶句して、見破られた錯覚は存在できなくなります。そのとき知覚されているのがあなた自身です。まだマインドで知覚しているため、知覚する者とされる者という分離がありますが、最初はそれでいいです。それを知覚することが大切です。知覚して「私はそれである(I AM THAT)」と言えるようになったら、あなたとそれは融合する必要があります。それを概念ではなく、すでに知覚したなら波動で捉えてください。思考によらず、眉間からただ波動で捉え、その波動と自身の波動が異なり、衝突していることを理解してください。あなたの今の意識を構成している波動を、すべて高い波動に従わせ、その波動に入ってください。何年か融合の過程を過ごすならば、立場は逆転し、意識のうえで自我は劣勢になるでしょう。そのとき、あなたは苦しみを感じることが理論的にも実際的にも不可能であることが当たり前になっているでしょう。

知覚されるまで途方もない時間がかかるように感じます。そして、私には知覚できないと思います。

しかし、眠気によって、あなたのその思考も今夜なくなります。自我は死にたくないですから、そのように何かと言い訳を見つけようとしますが、正しく瞑想し、正しく生活し、あなたが波動を高めたとき、彼の知覚を妨げるものがありうるでしょうか。彼が来て、あなたは降参するでしょう。すすんで降参するでしょう。眠気に負けるように、真我に負けるでしょう。

目次