第一イニシエーション

秘教徒が述べる第一イニシエーションは、肉体の統御と関係しており、霊的な道に対する自我の意志が確固とした揺るぎのない点にまで到達したことを記すものである。彼の内側で、個人の欲求ではなく、霊への欲求が勝ったことを意味する。これは簡単な説明である。彼は普通の人の生活に戻れないことを理解する。何度も失敗し、戻ろうとするかもしれないが、戻れないことを経験する。かつて親しかった人々との間にはもはや興味と認識に一致点は見つからず、孤独な霊の道しかなくなったことを認識する。それは基本的に次のような事実に基づくものである。

1. 魂による肉体のコントロール

大食、飲酒、性的な耽溺といった肉体の衝動に純粋に屈することができなくなる。屈する場合は、それは精神的なものである。人間の肉体は、ほとんど食べなくて良いようにできている。アルコールは人をアストラル的にするだけであり、それは瞑想に関わる器官(例えば松果体や脳下垂体)へ明確なダメージを与える。性欲はほとんどなくなり、静欲に置き換えられる。つまり、肉体からラジャスやタマスが一定割合、除去されたことを意味する。それは同時に、高位亜界の物質の組み入れと、低位亜界の粗雑な物質の除去を意味する。

粗雑な肉体の人々は高位の波動に接触できない。粗雑な肉体を通して魂が高位の知識と導きを伝えることはできない。高尚な思想の流れが未発達な肉体脳を刺激することはできない。そのため、肉体の精製が必要なのである。

アリス・ベイリー「秘教瞑想に関する手紙」p.381
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肉体の精製法

以下は、第一イニシエーションを準備している肉体が注意すべき事柄であり、(経済環境が許せば)誰でもできる簡単なものである。それゆえ、真我ではなく肉体に強調がおかれ、過度の栄養管理、狂信的なベジタリアン、長期間の断食、プラーナや不食への渇望といった、霊ではなく物質への傾倒という本末転倒になりがちであることを覚えておくべきである。瞑想に関して言えば、何をどのくらい食べたときに悪影響が及び、逆に何を食べず、何をどのくらい少なく食したときに瞑想に良い影響を与えたかを知ることが重要なことである。

  1. 純粋な食物。生活可能なごく少量のサットヴァの摂取。良質なミルク、蜂蜜、全粒粉のパン、無農薬玄米、日光を浴びた無農薬の野菜と果物、特に柑橘類、レーズン、木の実、サトヴィックな芋類など。
  2. 肉体の清潔。外的にも内的にも水をふんだんに使用することで。
  3. 良質な睡眠。リズム正しい生活、魂との交流つまり瞑想を中断しすぎない(長すぎない)睡眠が重要である。
  4. 日光。日光を適度に浴びることは生活の基本である。

これら四つに十分に注意するならば、…数年のうちに肉体全体がその偏極を移行させ、やがて原子亜界の物質で構成されるようになる。……これには数回の転生が必要かもしれないが、新たな転生において、肉体は前の転生を終えたときに脱ぎ捨てた肉体と正確に同じ特質を帯びて生まれてくることを覚えておくべきである。したがって、肉体の構築に費やした時間が失われることはない。

アリス・ベイリー「秘教瞑想に関する手紙」p.382
2. ハート・センターの活性化

ハート・センターがそれなりに機能するようになることで、アストラル界における霊的な知識と技術が手に入る。この時期に、学びの殿堂から知恵の殿堂に移行すると言われるが、それは知識(フォース)ではなく知恵(エネルギー)に感応し識別できるように徐々になるからである。低位のフォースを、太陽叢センターを介して、ハート・センターに移行させる技術を具体的に入手する。それは自我が行う意識的な霊的技術の最初のものである。彼はフォースを捕まえ、それに無意識に支配されることなく、それをエネルギーで支配するようになる。アストラル界でこれを大方マスターした時、彼は第二イニシエーションを受けることになる。第二イニシエーションでもハート・センターはさらに活性化されるが、それは変性というより、アストラル体のブッディ界への強烈な感応、つまり愛と呼ばれる非分離意識の発達と関係している。

低位のエネルギーを引きつける過程、それらを太陽叢に集中させる方法、そして、そこでそれらを変性し、ハート・センターへの移行が可能になる点にまでそれらを精製する方法について……。この多くが、第二イニシエーションに先駆けて、受け入れられた弟子たちに与えられる訓練に関係している。

アリス・ベイリー「秘教治療 上」 p.214

高位のエーテルと低位のエーテルの入れ替わりや、ブッディ・エネルギーに関してなど、第一イニシエーションに関して述べられることは多くあるだろうが、上の二つで十分だろう。二つ目は専門的な記述で理解しにくいが、通常、明確に霊の道を健全に揺るがず辿っている人は第一イニシエーションをすでに受けていると見なされている。したがって、肉体の統御に関しては識閾下に落ちており、自動的なものになっており、あまり考える必要がない。純粋な肉体の欲求の支配下にはないのである。

重要なことは、瞑想を妨害する肉体活動である。我々が認識しやすいのは、食事の影響だろう。食べたとき、何がサットヴァで、どのくらいの割合かを認識できるようになるべきである。波動の高いものだけを摂取すること。それは物質の食べ物だけでなく、見るもの、聞くもの、感じるもの、思うもの、これらについても明確に摂取する物質とみなし、高度な波動のものだけを目に入れ、耳に聞き、ハートで感じ、ハートで思考すべきである。全てにおいて高い波動を食することが瞑想の基本であり、このようにして低位の物質は三重の諸体(肉体・アストラル体・メンタル体)から除去され、高位亜界の物質が組み入れられる。この精製と浄化により、我々は高位の波動と接触するようになり、それらを扱う側に回るようになるのである。

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