ジニャーニ(Jnani)とは、ラマナ・マハルシによれば、「自己」として知られる純粋な意識へ完全に融合し、個我の錯覚を完全に超越した存在である。彼はもはや肉体や心と自己を同一視することなく、永遠なる「私は在る(I AM)」の直接的な認識に生きている。ジニャーニは、「私は身体である」「私は思考である」という誤った自己認識を捨て、純粋な意識として存在する者であり、その状態は一時的な体験ではなく、不可逆的な認識である。
ジニャーニにとって、世界、自己、神はもはや分離した概念ではなく、ただ一つの実在として認識される。彼にとっての世界は「ブラフマン(Brahman)」以外の何ものでもなく、現象界は単なる投影として見られる。彼は「見る者」と「見られるもの」の二元性を超え、真の知識(ジニャーナ)に完全に溶け込んでいる。これは単なる知的理解ではなく、直接的な経験であり、疑いや揺らぎの余地がない。
ジニャーニは、他者の目には通常の人間として映ることもあるが、彼自身にとってはもはや「行為する者(doer)」という観念は存在しない。行為が生じても、それは彼が行うものではなく、ただ自然に起こるものである。彼は完全なる静寂の中にあり、たとえ言葉を発したとしても、それは沈黙と本質的に変わらない。なぜなら、彼の語る言葉は「自己」から生じるものであり、個我の意図とは無縁であり、決して外的な出来事に影響されることはない。彼は何も求めず、何も恐れず、自己そのものとして存在する。
瞑想録 -672夜-

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