アリス・ベイリー入門

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アリス・ベイリーとは

アリス・ベイリー(Alice Ann Bailey)は、20世紀を代表する秘教徒であり、「チベット人」として知られるジュワル・クール覚者の教えを伝える役割を担った人物である。彼女は1880年にイギリスで生まれ、後にアメリカで活動し、神智学の流れを汲みつつ、秘教哲学を体系化した。彼女の著作のほとんどは、ジュワル・クール覚者からのメンタル・テレパシーによるものであり、その教えは現代においてもなお、秘教的探求において重要な指針となっている。

アリス・ベイリーとチベット人の関係

要するに、これらの本は彼のものであって、私のものではありません。基本的に責任は彼にあります。……私は必ずしもいつも彼の言うことに同意しているわけでも、理解できるわけでもありませんが、……私はチベット人(ジュワル・クール覚者)の言ったことをそのまま正確に発表してきました。

アリス・ベイリー「未完の自叙伝」 p.205

イニシエーション

イニシエーションは、三体の中に含まれる原子物質が、ある一定の割合に達したことを記すものである。第一イニシエーションでは四分の一、第二イニシエーションでは二分の一、第三イニシエーションでは四分の三の原子物質が三体に含まれるようになり、第四イニシエーションでは原子物質だけになる。ブッディは融合する原理(つまり、あらゆるものを結合するもの)であるため、第五イニシエーションにおいてアデプトは低位三体を捨て、ブッディ体をまとい、それ以降は顕現するときに顕現体を自ら創造するようになる。

アリス・ベイリー「イニシエーション」 p.39

第一イニシエーション

第一イニシエーションのとき、エゴによる肉体の統御は高い水準に達していなければならない。…二度と大食、飲酒、放蕩に溺れてはならないのである。もはや肉体エレメンタルの要求を聞き入れることはなく、その支配を完全なものにし、誘惑が生まれないようになっていなければならない。エゴに従おうという全般的な態度をすでに確立し、進んで従おうという気持ちが非常に強くなっていなければならない。その結果、高位我と低位我をつなぐ経路は広がり、肉体の服従は事実上、自動的になる。

イニシエーション p.120

※ベイリーの著作で使用される「エゴ」という単語は、本来の意味である「魂」を意味している。

第二イニシエーション

第二イニシエーションは、アストラル体を統御する上での危機になるものである。第一イニシエーションのときに濃密な肉体を統御したことが実証されたように、今度はアストラル体の統御を同じように実証する。欲求の犠牲と死滅が努力目標である。欲求そのものは魂によって支配されており、切望するものは、全体の利益になり、魂や大師の意志に適うものだけである。アストラル・エレメンタルは統御され、情緒体は浄化されて、透明になり、低位性質は急速に死滅していくことになる。この時点で、魂は二つの低位諸体を新たに掌握し、自分の意志に従わせる。奉仕し、愛し、進歩しようという熱誠と切望が非常に強くなり、通常は急速な成長が見られるようになる。このことが、第二イニシエーションと第三イニシエーションが多くの場合(いつもそうとは限らないが)一つの生涯で続いて達成されるという事実を説明するものである。

イニシエーション p.123

第三イニシエーション

第三イニシエーションは、ハイラーキーの観点から見れば第一イニシエーションである。これは、霊的人間がパーソナリティーを完全に統御したことを実証するものである。肉体は肉体的な訓練によって統御され、情緒性質は作り変えられ、マインドつまり第五原理の変質過程を経て、純粋理性の界層(ブッディ界)から来る霊的な印象づけに感応するようになっている。

アリス・ベイリー「光線とイニシエーション下」p.225

※ここで言う霊的人間とは魂のことである。第三イニシエーションでは、魂が新たに低位マインド(具体マインド)を掌握する。このようにして、魂はパーソナリティーを構成する三体すべてと自己を統合することになる。これは分離した個人意識から普遍的な魂意識への「変容」を意味する最初の主要イニシエーションである。

第四イニシエーション

第四イニシエーションのときに起こるコーザル体の破壊において、パーソナリティーの三体の統一につながる網の消失……このアルハットのイニシエーションに伴って起こる分解によって、自らを霊的トリアッドに表現するモナドとエゴが統一される。それが完全なる一体化である。

イニシエーション p.41
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